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【コラム】石油化学および精製産業におけるNIR分光法:QCおよび製品スクリーニングのためのASTM準拠ツール―第4部

【コラム】石油化学および精製産業におけるNIR分光法:QCおよび製品スクリーニングのためのASTM準拠ツール―第4部

2021/12/13

記事

こちらの記事は Part 4 のシリーズ

潤滑油とは何ですか?

潤滑油は、(エンジンやタービンなどの)可動する機械部品の摩擦・摩耗を制御・低減するために使用される、石油由来の製品として定義されています。潤滑油の主な目的は、機器の保護と寿命の延長を助けることです。

Machinery and lubricants go hand in hand, as shown here.
ここに示す通り、機械と潤滑油は切っても切れない関係にあります。

これらの目的は、以下の方法によって達成されます:

摩擦・摩耗を低減することによる潤滑。潤滑油は、機器の可動する機械部品の間に膜を形成します。これにより、金属同士の接触、ひいては摩耗が低減されます。

ヒートシンクとして機能することによる冷却。これにより、機器の重要な部品から熱が放散され、温度上昇による変形が防止されます。

膜を形成することによる保護。この膜は酸素や腐食性物質の影響を受けないため、金属の損傷や酸化(錆)を防ぎ、ひいては摩耗も防ぎます。

潤滑油の種類

潤滑油は、大部分が油に添加剤や他の化学物質を加えたものから成ります。油の由来に基づく、一般的な2種類の潤滑油があります:

2021/12/13_NIR_spectroscopy_in_the_petrochemical_and_refinery_industry_The_ASTM_compliant_tool_for_QC _and_product_screening_Part_4_3
a)

1. 鉱物油系潤滑油(図1a)は、最も一般的に使用されている種類です。

これらは、合成添加剤が加えられた石油製品(ベースストック)で構成されています。この種の潤滑油は、高温を必要としない用途で使用されます。鉱物油系潤滑油が使用される典型的な分野には、エンジン、油圧、ギア、軸受などが含まれます。

2021/12/13_NIR_spectroscopy_in_the_petrochemical_and_refinery_industry_The_ASTM_compliant_tool_for_QC _and_product_screening_Part_4_4
b) 図1. 潤滑油に見られる分子構造の違い:a)鉱物油、b)合成油。

2. 合成油系潤滑油(図1b)は、鉱物油の人工的な代替物として開発されたものです。

これらはあまり一般的ではなく、より高価です。合成油は、鉱物油よりも優れた特性を持つ潤滑油を作り出すため、特別に開発されています。例えば、耐熱性を持つ合成油は、高温で稼働する高性能機械に使用されます。

以下の表では、下位分類を含むさまざまな潤滑油の種類を一覧しています。

潤滑油の物理的特性(粘度や密度など)は主にベース油に依存する一方、添加剤は酸価や塩基価といった化学的特性を微調整します。それぞれの用途に応じて、油は通常、顧客が求める物理的・化学的特性を満たすよう配合されます。したがって、さまざまな種類の油が存在します(表1)。

表1. さまざまな潤滑油の種類。

潤滑油の種類下位分類
自動車用油エンジンオイル、ギアオイル、トランスミッション液
工業用油油圧油、タービン油
グリース 
金属加工液成形液、切削液

近赤外分光法―潤滑油の品質評価のためのASTM準拠ツール

近赤外分光法(NIRS)は、30年以上にわたり、石油化学産業における迅速かつ信頼性の高い品質管理の確立された方法です。しかしながら、多くの企業は依然として、自社のQA/QC実験室におけるNIRSの導入を一貫して検討していません。その理由は、応用可能性に関する経験の不足、または新しい方法の導入に対する一般的な躊躇のいずれかである可能性があります。

NIRSを他の従来型分析技術と比較して使用することには、いくつかの利点があります。第一に、NIRSはサンプル前処理なしで、わずか30秒で複数のパラメータを測定することができます!物理的および化学的なサンプル特性の両方の影響を受ける、NIRSが使用する非侵襲的な光と物質の相互作用は、両方のタイプの特性を決定するための優れた方法となっています。

本記事の残りの部分では、ASTM E1655(method development;方法開発)、ASTM D6122(method validation;方法バリデーション)、およびASTM D8340(results validation;結果バリデーション)のNIRS導入ガイドラインに従って開発された、潤滑油向けの利用可能なソリューションについて説明します。

 

NIRSを二次的技術として使用することについて詳しく知るには、これまでのブログ記事をお読みください。

NIR分光法の利点:第1部

NIR分光法の利点:第2部

NIR分光法の利点:第3部

NIR分光法の利点:第4部

NIRSによる潤滑油分析の応用とパラメータ

潤滑油向けの主要なNIRSアプリケーションは、油の状態を容易にモニタリングすること、すなわち、機器の適切な潤滑にとって油がまだ適した品質を保っているかを確認することです。不必要な油の交換を減らすことは、大幅なコスト削減につながります。一方、油の交換頻度が低すぎると、機器の損傷が生じる可能性があり、高額な修理につながります。したがって、潤滑油の使用を最適化することは非常に重要です。

NIRSと一次的方法から得られる値との間で相関させることができるパラメータには、動粘度粘度指数、色、密度、水分含有量、TAN(全酸価)TBN(全塩基価)があります。これらのパラメータについて実用的なNIRSモデルを開発するため、複数の異なる企業から提供された大規模なサンプルセット(油圧油、ギアオイルなどを含む)が使用されました。場合によっては、その潤滑油がどのような用途に使用されていたかが明確でなく、油の正確な素性が不明であることもありました。

潤滑油のNIRS分析における最も関連性の高いアプリケーションノートを、以下の表2に示します。

表2. 潤滑油向けMetrohm NIRSソリューション(アプリケーションの詳細および利点を含む)。
パラメータ参照法規格NIRSアプリケーションノートNIRSの利点
酸価滴定ASTM D664

AN-NIR-071

AN-NIR-041

サンプル前処理や化学試薬を一切必要とせず、すべてのパラメータが1分以内に同時に測定される。
40 °Cにおける動粘度粘度計ASTM D445
100 °Cにおける動粘度粘度計ASTM D445
粘度指数算出ASTM D2270
色数比色計ASTM D1500
水分含有量カールフィッシャー滴定ASTM D6304
塩基価滴定ASTM D2896
密度密度計ASTM D4052

スターターモデルによるソリューション―潤滑油の品質管理を迅速化・簡素化

潤滑油は、私たちの現代生活を円滑に稼働させ続けています。使用中は、油がまだ十分な品質を保っているか、あるいは交換が必要かどうかを確認するため、モニタリングする必要があります。

ここで得られたデータは、潤滑油が用途ごと、供給業者ごとに異なることを示しています。これはつまり、事前校正へと転用できるほど堅牢なモデルを準備するには、各油種・下位種について十分な情報がまだ揃っていないことを意味します。しかしながら、パートナーがサンプルを提供する場合、実現可能性調査により、NIRスペクトルが一次的方法の値と相関できるかどうかを迅速に把握することができます。

通常、酸価・塩基価(ANおよびBN)、粘度、水分含有量、色、密度といった複数の主要パラメータが、実験室においてさまざまな化学的・物理的方法によって決定されます。これらの方法は、高い運用コストがかかるだけでなく、実施にもかなりの時間を要します。

一方、NIRSは薬品もサンプル前処理も必要とせず、1分未満で結果を提供します。この分光技術は、非化学者でも扱えるほど簡便です。さらに、複数の化学的・物理的パラメータを同時に決定することができます。この技術の複合的な利点により、NIRSは多くの日常的なQA/QC測定、あるいはアドホックなアトライン分析にとって理想的なソリューションとなっています。

応用例:NIRS DS2500 Liquid Analyzerによる潤滑油向けスターターモデル

潤滑油分析では、酸価(ASTM D664)、粘度(ASTM D445)、水分含有量(ASTM D6304)、色数(ASTM D1500)の決定には、複数の分析技術の使用、そして一部では大量の薬品の使用が必要です。したがって、結果を得るまでの時間は、かなり長く費用のかかるプロセスとなりえます。

この例では、複数の潤滑油サンプルが、Metrohm製NIRS DS2500 Liquid Analyzerを用いて、全波長範囲(400~2500 nm)にわたり透過モードで測定されました。安定したサンプル環境を提供するため、内蔵の温度制御サンプルチャンバーは40 °Cに設定されました。利便性の観点から、光路長8 mmの使い捨てバイアルが使用され、これにより洗浄手順が不要となりました。

 

Metrohm NIRS DS2500 Analyzerによる石油化学分析の可能性について、下記の無料パンフレットで詳しくご覧いただけます。

DS2500 Analyzer – 近赤外分光法(NIRS)によるQC実験室の効率向上

Quality control of lubricants as performed by the Metrohm NIRS DS2500 Liquid Analyzer.
図 2. Metrohm NIRS DS2500 Liquid Analyzerによって実施される、潤滑油の品質管理。

得られた可視-NIRスペクトル(図2)は、(表2に示すような)潤滑油の主要パラメータの決定用予測モデルの作成に使用されました。予測モデルの品質は、可視-NIR予測値と一次的方法による値との相関を示す相関図を用いて評価されました。それぞれの性能指標(FOM)は、ルーチン分析における予測の期待精度を示しています(図3)。

2021/12/13_NIR_spectroscopy_in_the_petrochemical_and_refinery_industry_The_ASTM_compliant_tool_for_QC _and_product_screening_Part_4_9
Figure 3. Correlation plots and figures of merit (FOM) for different parameters measured in lubricants.
図 3. 潤滑油中で測定されたさまざまなパラメータに関する相関図および性能指標(FOM)。

本ソリューションは、NIR分光法がサンプル前処理や化学試薬を使用せず、1分未満で潤滑油中の複数のパラメータの分析に非常に適していることを実証しています。

大量のサンプル群を分析する必要がある場合、潤滑油サンプルを完全自動化された方法で測定することも可能です。詳しくは、下記の無料アプリケーションノートをご覧ください。

潤滑油の品質管理―ASTM E1655に準拠した自動NIR分光法による無人・迅速な酸価決定

 

ここでは、サンプルは全波長範囲(400~2500 nm)にわたり、NIRS XDS RapidLiquid Analyzerを815 Robotic USB Sample Processor(最大141サンプルを搭載可能)と組み合わせて用い、透過モードで測定されました(図4)。

Metrohm NIRS XDS RapidLiquid Analyzer equipped with a with 5.0 mm flow cell (left) and the 815 Sample Processor (right).
図 4. 5.0 mmフローセル(左)を装備したMetrohm NIRS XDS RapidLiquid Analyzerと、815 Sample Processor(右)。

まとめ

近赤外分光法は、潤滑油分析に非常に適しています。利用可能なスターターモデルは、ASTMガイドラインに準拠して開発・バリデーションされています。一次的方法に代わる技術としてNIRSを使用することの利点は、結果までの時間が短いこと(1分未満)、化学薬品やその他の高価な装置が不要であること、そしてシフト勤務者や非化学者でも安全にこれらの分析を実施できるほどの扱いやすさです。

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本ブログ記事は、潤滑油というトピック、そして石油化学/精製産業にとって理想的なQCツールとしてNIR分光法をどのように使用できるかに焦点を当てたものです。他の記事は、以下のトピックに焦点を当てています:

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